マテ茶(イエルバ・マテ)とは?アルゼンチン・パラグアイの文化と原料としての可能性を解説

マテ茶(イエルバ・マテ)とは?アルゼンチン・パラグアイの文化と原料としての可能性を解説

南米で親しまれるマテ茶(イエルバ・マテ)を、産地・加工工程・マテとテレレの文化・日本との接点・原料としての使い分けまで整理しました。HSコード0903など輸入実務のポイントも解説します。

公開日:2026年8月7日 / 南米新聞・南米原料・食と農産物・文化と習俗 / 最終確認:2026年8月3日(日本時間)

この記事の結論

マテ茶は、モチノキ科の樹木イエルバ・マテ(学名 Ilex paraguariensis)の葉と枝を乾燥・加工した飲みものです。南米ではコーヒーや紅茶と同じくらい生活に根ざしています。

  • 産地はアルゼンチン北東部・パラグアイ東部・ブラジル南部にほぼ限られます。この3か国で世界の生産のほとんどを占めます。
  • 消費量ではウルグアイも大きな存在です。自国では生産せず、輸入して飲む国という珍しい立ち位置にあります。
  • 熱い湯で飲む「マテ」と、冷たい水で飲む「テレレ」があります。テレレに関わるパラグアイの伝統知識は、2020年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。
  • カフェインに加え、ポリフェノールやサポニンを含むことが知られています。ただし体感や含有量は、茶葉の種類と淹れ方で大きく変わります。
  • 日本の輸入実務では、マテはHSコード0903に分類されます。緑茶(0902)やコーヒー(0901)とは別の区分です。
  • 原料としては、リーフ・ロースト・粉末・エキスと形態の幅が広く、飲料以外の用途も広がっています。

南米の映像を見ていると、ひょうたんのような器に金属のストローを挿し、順番に回しながら飲む光景に出会うことがあります。あれがマテ茶です。

日本では「健康茶のひとつ」として紹介されることが多い飲みものですが、現地での位置づけは少し違います。マテ茶は嗜好品であり、農産物であり、そして人と人との距離を縮めるための道具でもあります。アルゼンチンでは国民的飲料として法律で位置づけられ、パラグアイでは暑い日の必需品として持ち歩かれ、ブラジル南部では冬の朝の習慣として定着しています。

この記事では、マテ茶を「南米の珍しいお茶」としてではなく、産地・加工・文化・原料としての可能性という4つの角度から整理します。

マテ茶の原料となるイエルバ・マテ(Ilex paraguariensis)の枝と葉
マテ茶の原料になるイエルバ・マテ(Ilex paraguariensis)。モチノキ科の常緑樹で、光沢のある厚い葉が特徴です。写真:Mx. Granger、CC0、出典:Wikimedia Commons

マテ茶とは何か

マテ茶の原料は、イエルバ・マテ(yerba mate、学名 Ilex paraguariensis)という常緑樹です。モチノキ科モチノキ属に属し、日本の庭木でおなじみのモチノキやクロガネモチと同じ仲間にあたります。緑茶や紅茶の原料であるチャノキ(Camellia sinensis)とは、植物としてまったく別の系統です。

つまり「マテ茶」という名前はついていますが、植物学的にはお茶ではありません。この点は、原料調達や表示を考えるうえでも意外に重要になります。

用いるのは主に葉と細い枝です。収穫した葉をそのまま置いておくと酸化して黒ずんでしまうため、伝統的には収穫後すぐに火であぶって酵素の働きを止め、乾燥させます。この最初の工程はサパケアード(sapecado)と呼ばれ、マテ茶特有の香ばしさの土台になっています。

言葉の由来もはっきりしています。「マテ(mate)」はもともと飲みものの名前ではなく、飲むためのを指すケチュア語の「マティ(mati)」に由来するとされます。中身である茶葉のほうは、スペイン語で「草」を意味するイエルバ(yerba)と呼び分けられます。現地で「イエルバを買ってくる」と言えば、それは茶葉のことです。

どこで育ち、どうつくられるのか

イエルバ・マテが自生し、商業的に栽培されている地域は、世界的に見てもごく限られています。パラナ川流域を中心とした、アルゼンチン北東部・パラグアイ東部・ブラジル南部のエリアです。具体的には、アルゼンチンのミシオネス州とコリエンテス州、パラグアイのイタプア県やアルト・パラナ県、ブラジルのパラナ州・サンタカタリーナ州・リオグランデドスル州が主産地にあたります。

この地域は亜熱帯性の気候で、雨が多く、赤みの強い土壌が広がっています。標高はさほど高くなく、コーヒーのように「高地であるほど良い」という考え方はあまり使われません。むしろ、日陰で育てるか日なたで育てるか、樹齢はどれくらいか、枝をどこまで刈り取るかといった栽培管理のほうが、味に効いてきます。

加工の流れは、おおむね次のように進みます。

工程 現地での呼び名 内容
① 収穫 cosecha / zafra 葉のついた枝を刈り取る。主な収穫期は乾季にあたる時期。
② 火入れ sapecado 収穫直後に炎で短時間あぶり、酸化酵素の働きを止める。香ばしさの起点。
③ 乾燥 secado 水分を落とす。薪の煙をあてる伝統製法と、煙をあてない製法がある。
④ 粗粉砕 canchado 葉と枝を粗く砕き、次の熟成にかけられる状態にする。
⑤ 熟成 estacionamiento 数か月から2年ほど寝かせ、青臭さを抜いて味をまとめる。銘柄ごとの個性が出る工程。
⑥ 仕上げ molienda / mezcla 葉・枝・粉の比率を調整して粉砕・ブレンドし、包装する。

ここで注目したいのが、⑤の熟成です。マテ茶は摘みたてが最上とされる飲みものではありません。時間をかけて落ち着かせることで、はじめて商品として成立します。熟成期間の長短、薪の煙をあてるかどうか、葉と枝の比率をどうするか。この3点の組み合わせが、そのままブランドの個性になります。

言い換えれば、マテ茶は加工と設計の余地が大きい原料だということです。同じ産地の葉からでも、仕上げ方によってまったく違う味の製品ができあがります。

飲み方に宿る文化 — マテとテレレ

マテ茶の飲み方には、大きく2つの系統があります。

熱い湯で飲む「マテ」

器(マテ)に茶葉をたっぷり入れ、ボンビージャ(bombilla)と呼ばれる濾し器付きの金属ストローを挿し、70〜80度ほどの湯を少しずつ注いで飲みます。ブラジル南部では同じ飲み方をシマロン(chimarrão)と呼びます。

特徴的なのは、一つの器を複数人で回すという習慣です。湯を注ぐ役(セバドール)が最初の一杯を飲み、次に湯を足して隣の人に渡す。飲み終えたら黙って返し、また湯を足して次の人へ。この繰り返しが、会話の流れそのものになります。

ここには、日本の茶道とは違う種類の作法があります。器を受け取ったら会話を止めて飲みきる、ボンビージャをかき回さない、返すときに「ありがとう」と言うのは「もう十分です」の合図になる、といった具合です。知らずに「ありがとう」と言うと、そこで回ってこなくなります。細かなことですが、現地の人と席をともにするなら知っておいて損はありません。

冷たい水で飲む「テレレ」

パラグアイとアルゼンチン北部を中心に、氷水で飲むテレレ(tereré)という飲み方があります。気温が40度近くまで上がる地域では、熱い湯より冷たい水のほうが理にかなっています。

テレレでは、水にミントやレモングラス、各種の薬草を潰して加えることがよくあります。この薬草はポハ・ニャナ(pohã ñana)と呼ばれ、グアラニーの言葉で「薬草」を意味します。どの草をどう組み合わせるかという知識は、家庭や地域のなかで受け継がれてきました。

2020年、ユネスコはこの「テレレの文化におけるポハ・ニャナの実践と伝統知識」を無形文化遺産に登録しました。飲み方そのものではなく、薬草をめぐる知識の体系が評価されたという点に、この文化の性格がよく表れています。

4か国それぞれの立ち位置

マテ茶をめぐる国ごとの関係は、「つくる国」と「飲む国」が必ずしも一致しないところが面白いところです。

生産 消費と特徴
アルゼンチン 世界最大級 国民的飲料として法律上も位置づけられている。国立イエルバ・マテ機構(INYM)が品質基準や需給を所管。ミシオネス州が中心産地。
ブラジル 大規模 南部3州が中心。熱い飲み方はシマロン。北東部ではローストした「マテ・トスタード」を冷たくして飲む文化もあり、国内でも地域差が大きい。
パラグアイ 主要生産国 テレレの本場。魔法瓶と器を持ち歩く姿が日常風景。薬草との組み合わせ文化が濃い。
ウルグアイ ほぼ生産しない 一人あたり消費量は世界最大級とされる。生産国ではないのに消費大国という、輸入で成り立つ市場。茶葉の細かい粉が多い仕上げが好まれる傾向。

ウルグアイの例は、原料ビジネスを考えるうえで示唆に富んでいます。栽培に適した土地を持たない国が、加工と流通と消費文化によって世界有数の市場をつくったわけです。原産地であることと、市場を持つことは別だという事実がここにあります。

成分と味の特徴

マテ茶にはカフェインが含まれます。加えて、同じキサンチン類のテオブロミン、クロロゲン酸などのポリフェノール、サポニン類、ミネラル分が報告されています。

ただし、ここは慎重に書く必要があります。「マテ茶のカフェインはコーヒーより少ない」といった比較は、条件を決めなければ成立しません。茶葉に含まれる量、使う茶葉の量、湯の温度、何煎目か、枝の比率。これらで抽出される量は大きく変わります。回し飲みのマテは同じ茶葉に何度も湯を足すため、一杯あたりでは薄くても、飲む総量は多くなりがちです。

健康面についても、南米新聞では効能の断定はしません。研究報告は多数ありますが、飲用習慣・温度・量などの条件が絡むため、一般化して「体に良い」「悪い」と言い切れる段階にはないと考えています。日本国内で機能性を訴求する場合は、機能性表示食品制度など所定の枠組みに沿った科学的根拠が必要になります。

味の特徴は、次のように整理できます。

  • 青みと苦み:熟成が浅いものは草のような青さが立ちます。長期熟成のものは角が取れ、まろやかになります。
  • 燻香:薪の煙をあてて乾燥させた伝統製法は、独特のスモーキーさが残ります。日本人には好みが分かれるポイントです。
  • 甘やかさ:ローストしたマテ・トスタードは、ほうじ茶や麦茶に近い香ばしさに寄ります。日本の食卓には、こちらのほうが馴染みやすい傾向があります。
  • 粉の量:粉が多いと濃く出やすく、少ないとすっきりします。ウルグアイ向けとアルゼンチン向けで仕上げが違うのは、この差が大きいためです。

日本との接点

マテ茶と日本の関わりは、実はそれなりに長いものです。

ひとつは移民を通じた接点です。ブラジル、アルゼンチン、パラグアイには日系社会があり、パラグアイのイグアス移住地のように、日本人移住者が農業を担ってきた地域もあります。マテ茶が日常にある土地で暮らしてきた日系の人々にとって、この飲みものは「南米の珍しいもの」ではなく、生活の一部です。日本と南米の間には、こうした人の行き来を通じた地続きの関係があります。

関連記事:日本と南米の繋がり|移民の歴史から見える絆

もうひとつは飲料市場での接点です。日本では2010年代に大手飲料メーカーがペットボトルのマテ茶飲料を発売し、テレビCMを通じて名前が広く知られるようになりました。それ以前は輸入食品店やハーブティー売り場に限られていた存在が、この時期に一般の認知を得たと言えます。

現在の日本市場では、次のような形で流通しています。

  • リーフタイプ(アルゼンチン・ブラジル産の輸入品、器とボンビージャのセット販売も)
  • ティーバッグタイプ(ローストが中心。日常の飲用向け)
  • ペットボトル・紙パック飲料(ブレンド茶の一角として)
  • 粉末・エキス(サプリメント、機能性素材、ブレンド原料として)

コーヒーや紅茶に比べれば市場規模は小さいものの、「知っているが、飲んだことはない」という層が厚いのがマテ茶の現状です。認知はあるが体験がない。原料や商品を考えるうえでは、これはむしろ余地がある状態と見ることもできます。

原料としてのマテ茶

企業として扱うことを考えると、形態ごとに使いどころが分かれます。

形態 主な用途 検討時のポイント
リーフ(グリーン) 専門店・EC向けの嗜好品 飲み方の説明と器の提案がセットで必要。単体では体験のハードルが高い。
ロースト(トスタード) ティーバッグ、ブレンド茶 日本の味覚に馴染みやすい。焙煎度で香りの設計ができる。
粉末 飲料原料、菓子、サプリメント 粒度と色の安定性が要件になる。ロット差の管理が重要。
エキス・濃縮液 RTD飲料、機能性素材 規格(固形分・成分値)を明確にした取引になる。供給の安定性が鍵。
その他 化粧品原料、ペット向け、器・ボンビージャ等の関連雑貨 用途ごとに求められる規格・表示が異なる。食品用と非食品用で分けて考える。

南米の天然素材を扱う視点は、以下の記事でも整理しています。

輸入を考えるときの実務ポイント

マテ茶を日本に持ち込む場合、押さえておきたい点がいくつかあります。

1. 分類(HSコード)

マテ(maté)はHSコード0903という独立した項に分類されます。コーヒーの0901、緑茶・紅茶の0902とは別枠です。「お茶」という語感から0902だと思い込むと、関税率や統計の確認先を間違えます。最初にここを確認しておくと、後の作業がスムーズになります。

2. 食品としての手続き

飲食用として輸入する場合は、食品衛生法に基づく食品等輸入届出が必要です。残留農薬や添加物の基準への適合、必要に応じた試験成績書の準備が求められます。加工の程度によっては植物防疫の確認が必要になる場合もあるため、初回輸入前に検疫所・植物防疫所へ照会しておくのが確実です。

3. 品質規格の取り決め

マテ茶は「葉と枝と粉の混合物」です。だからこそ、契約時に次の点を数値で決めておくと、ロットのぶれを防げます。

  • 葉・枝・粉の比率(現地では palo=枝の含有率として表現されます)
  • 熟成期間(何か月寝かせたものか)
  • 乾燥方法(薪の煙をあてる製法か否か)
  • 水分値、粒度、異物基準
  • 残留農薬の検査体制と成績書の提供可否

4. 表示の考え方

植物としてチャノキではないため、日本国内での商品表示では「茶」という語の使い方に注意が必要です。原材料名の表記、名称、機能性に関わる表現は、それぞれ所定のルールに沿って設計します。

手続き全体の流れは、こちらの記事で詳しく解説しています:南米から食品を輸入する手順|食品衛生法の届出・検疫・HSコード・通関の流れを解説

Misioneroの視点

マテ茶を見ていて考えさせられるのは、この飲みものが「安いから」「珍しいから」広まったわけではないという点です。

マテ茶が南米で定着したのは、そこに人が集まる理由があったからです。器を回すという行為が、会話と時間を共有する仕組みとして機能してきた。産業としては、その文化の厚みの上に、栽培・加工・ブランドが積み上がっています。

私たちが南米の原料を扱うときに大切にしているのも、同じ考え方です。原料を「安く手に入る素材」として切り出すのではなく、それが育ってきた背景ごと理解する。そのうえで、日本の市場でどう役に立てるかを一緒に設計する。産地にとっても買い手にとっても、その順番のほうが結局は長続きします。

関連記事:対等な取引が生む価値|南米と日本をつなぐビジネス

南米原料の調達をお考えの企業様へ

Misionero株式会社では、南米の文化や背景を大切にしながら、現地の価値ある原料を日本へ届ける事業を行っています。マテ茶をはじめとする南米原料の輸入、製品開発、OEM、販路づくりに関心のある企業様は、お気軽にご相談ください。

「まず市場を調べたい」「サンプルを取り寄せて検討したい」といった初期段階のご相談も歓迎しています。

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よくある質問

マテ茶は緑茶や紅茶の仲間ですか?

いいえ。緑茶・紅茶・ウーロン茶はすべてチャノキ(Camellia sinensis)からつくられますが、マテ茶はモチノキ科のイエルバ・マテ(Ilex paraguariensis)からつくられます。植物としては別の系統です。

マテ茶にカフェインは含まれますか?

含まれます。含有量は茶葉の種類・使用量・湯の温度・抽出回数によって大きく変わるため、「コーヒーより多い/少ない」と一律に言うことはできません。カフェインを控えている方は、量と飲み方を確認したうえで判断してください。

マテとテレレは何が違いますか?

湯で飲むのがマテ(ブラジル南部ではシマロン)、氷水で飲むのがテレレです。テレレはパラグアイやアルゼンチン北部など暑い地域の習慣で、ミントなどの薬草を加えることがよくあります。

どの国のマテ茶が良いのですか?

優劣ではなく、仕上げの違いと考えるのが実際的です。アルゼンチン産は熟成が長めでバランス型、ブラジル産は粉が細かくシマロン向け、パラグアイ産はテレレに合う仕上げが多い傾向にあります。用途を決めてから産地と規格を選ぶのが確実です。

日本でマテ茶を仕入れることはできますか?

できます。リーフ、ロースト、粉末、エキスなど形態の選択肢があり、それぞれ求められる規格や手続きが異なります。用途が決まっていれば、それに合わせて産地と仕様を設計するのが近道です。

マテ茶のHSコードは何番ですか?

マテはHS0903に分類されます。コーヒー(0901)や緑茶・紅茶(0902)とは別の項です。実際の適用は形態や加工度によって判断されるため、輸入前に税関へ確認することをおすすめします。

主な出典・参考情報

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