南米に先住民族は今もいる?人口・割合・有名な民族をわかりやすく解説

南米に先住民族は今もいる?人口・割合・有名な民族をわかりやすく解説

南米には今も約1,900万〜2,000万人規模の先住民・先住民族が暮らしています。人口、割合、過去推定、ブラジルの300以上の民族、有名な先住民族をわかりやすく解説します。

結論:南米には今も約1,900万〜2,000万人規模の先住民・先住民族が暮らしています

南米には、ケチュア、アイマラ、マプチェ、グアラニー、ヤノマミ、カヤポ、ティクナ、アシャニンカなど、多様な先住民族が今も暮らしています。国別の国勢調査や国際機関の情報をもとに見ると、南米12カ国の先住民人口はおおよそ約1,900万〜2,000万人規模、南米全体人口の約4〜5%前後と考えられます。

  • ブラジルだけでも300を超える先住民族・民族集団が確認されている
  • 南米全体では、国別統計を単純に見ると600以上の民族集団が確認される
  • 過去の先住民人口は推定幅が大きく、コロンブス以前の南米で約2,400万人規模とする推定もある
  • 「インディアン」「原住民」という言葉は検索語として残るが、本文では「先住民」「先住民族」と表記するのが望ましい

南米には今も先住民はいるのか。どれくらいの人口がいるのか。ブラジルに300以上の民族がいるというのは本当なのか。

このテーマは、南米を知るうえで非常に重要です。先住民族は、過去の歴史の中だけに存在する人々ではありません。現在も南米各地で暮らし、言語、文化、土地、自然環境、政治、教育、権利運動、環境保護の面で大きな役割を担っています。

この記事では、南米の先住民・先住民族について、現在の人口、過去の推定人口、南米全体に占める割合、有名な先住民族、国別の違いを、事実ベースで整理します。

この記事でわかること

  • 南米に今も先住民・先住民族が暮らしているのか
  • 南米の先住民人口はどれくらいか
  • 南米人口全体に占める割合はどれくらいか
  • コロンブス以前の先住民人口はどの程度と推定されているか
  • ブラジルに300以上の先住民族がいるという意味
  • ケチュア、アイマラ、マプチェ、グアラニー、ヤノマミなど有名な先住民族の特徴

「インディアン」ではなく「先住民・先住民族」と書く理由

日本語では今でも「南米 インディアン」「アマゾン インディアン」「南米 部族」と検索されることがあります。しかし、現在の記事や公的文脈では、「先住民」「先住民族」「先住民コミュニティ」という表現を使う方が正確で、敬意ある表現です。

「インディアン」は歴史的に使われてきた言葉ですが、地域や文脈によっては古い表現、外部からの呼称、誤解を含む表現として受け止められることがあります。本記事では、検索語として必要な場合を除き、基本的に「先住民」「先住民族」と表記します。

南米の先住民人口はどれくらいか

南米12カ国の国勢調査や国際機関の情報をもとに大まかに整理すると、先住民・先住民族として自己認識している人々は、南米全体で約1,900万〜2,000万人規模と見られます。

ただし、これは厳密な単純比較ではありません。国によって「先住民」の定義や数え方が異なるためです。

  • 自己認識で数える国
  • 民族への所属で数える国
  • 先住系の祖先・血統認識で数える国
  • 先住民言語の話者数を重視する国
  • 古い国勢調査しかない国

そのため、記事では「約1,900万〜2,000万人規模」「南米人口の約4〜5%前後」と幅を持たせて表現するのが安全です。

なぜ先住民人口は国によって数字が変わるのか

先住民人口を調べるときに難しいのは、「誰を先住民として数えるか」が国によって異なる点です。これは単なる統計上の問題ではなく、歴史、政治、教育、差別、言語、土地権、自己認識と深く関係しています。

たとえば、ある人が先住民族の祖先を持っていても、自分自身を先住民として申告しない場合があります。逆に、都市部で暮らし、伝統的な衣装や言語を日常的に使っていなくても、自分のルーツや共同体との関係から先住民として自己認識する人もいます。

先住民人口は、血統だけで決まる数字ではありません。自己認識、民族への所属、言語、共同体との関係、国の調査方法が重なって決まる数字です。

数え方 意味 注意点
自己認識 本人が先住民・先住民族として自己申告する 差別や社会的背景によって申告しない人もいる
民族所属 ケチュア、アイマラ、マプチェなど特定民族への所属で見る 国境をまたぐ民族は重複や分類差が出やすい
言語 先住民言語を話すかどうかで見る 言語を失っても先住民としてのアイデンティティを持つ人はいる
祖先・ルーツ 先住系の祖先を持つかどうかで見る 文化的な所属とは一致しないことがある
共同体登録 政府や共同体に認められたコミュニティとして数える 都市部の先住民や移住者が見えにくくなることがある

南米先住民人口の国別目安

先住民人口の目安 南米先住民人口における位置づけ 注意点
ペルー 約597万人 南米最大級 ケチュア、アイマラ、アマゾン地域の民族など多様
ボリビア 約430万人 人口比率が非常に高い アイマラ、ケチュアなどが社会・政治でも重要
チリ 約210万人 マプチェを中心に大きな存在感 都市部にも多く暮らす
コロンビア 約190万人 民族数が多い アンデス、アマゾン、カリブ海沿岸など地域差が大きい
ブラジル 約169万人 民族数・言語数が非常に多い 2022年国勢調査で先住民人口が約169万人とされた
エクアドル 約130万人 キチュワ系の存在感が大きい 民族・国民集団の整理がある
アルゼンチン 約130万人 都市部を含め広く分布 先住系の祖先認識を含む統計
ベネズエラ 約72万人 カリブ海側・内陸部に多様な民族 近年の統計更新に注意
ウルグアイ 約22万人 先住系祖先認識として扱われることが多い 民族集団としての統計とは異なる
パラグアイ 約14万人 グアラニー文化の影響が強い グアラニー語話者と先住民人口は同じではない
ガイアナ 約7.8万人 国人口に対する比率は比較的高い 「Amerindian」と表記されることがある
スリナム 約2万人 少数だが文化的に重要 先住民族とマルーンなど別集団を分けて理解する必要がある

南米人口全体に占める割合

南米全体の人口を約4.4億人前後とし、先住民人口を約1,900万〜2,000万人規模と見ると、南米人口全体に占める割合は約4〜5%前後です。

つまり、割合で見ると1割未満ですが、人口規模で見ると約2,000万人近い人々が、先住民・先住民族としてのルーツやアイデンティティを持って暮らしていることになります。

過去にはどれくらいの先住民がいたのか

コロンブス以前、つまりヨーロッパ人が本格的にアメリカ大陸へ到達する以前の先住民人口は、研究者によって推定に大きな幅があります。アメリカ大陸全体では、推定値が数千万から1億人超まで幅広く議論されてきました。

南米だけで見ると、代表的な推定の一つとして、アンデス地域に約1,570万人、低地南米に約860万人、合計で約2,400万人規模とする見方があります。ただし、これはあくまで推定であり、考古学・人口史・地域区分の取り方によって数字は変わります。

過去人口については「正確な人数」ではなく、「推定幅が非常に大きい歴史人口」として扱う必要があります。ヨーロッパ人との接触後、感染症、戦争、強制労働、土地喪失、同化政策などによって、多くの地域で人口と文化に大きな打撃がありました。

なぜコロンブス以前の人口推定は難しいのか

コロンブス以前の南米人口を正確に数えることはできません。当時の全域的な国勢調査が残っているわけではなく、地域によって社会構造、集落の規模、記録の残り方が大きく違うためです。

アンデス地域にはインカ帝国のような高度に組織化された国家があり、農業、道路網、徴税・労働動員の仕組みが存在しました。一方、アマゾン低地では、長い間「人口が少なかった」と考えられてきましたが、近年の考古学や土壌研究では、かつてより複雑な人間活動があった可能性も議論されています。

  • 当時の全域的な人口記録が存在しない
  • 感染症による急激な人口減少が早い段階で起きた可能性がある
  • ヨーロッパ人が記録した時点で、すでに人口減少が進んでいた地域がある
  • 考古学、口承、植民地記録、土地利用の痕跡を組み合わせて推定する必要がある
  • 研究者によって前提条件が異なるため、推定値に大きな幅が出る

したがって、記事では「過去には何人いた」と断定するよりも、「コロンブス以前の南米には数千万人規模の先住民社会が存在したと推定されるが、正確な人口には大きな幅がある」と表現するのが適切です。

ブラジルだけで300以上の民族がいるとはどういう意味か

ブラジルでは、2022年国勢調査で約169万人が先住民として自己認識しています。また、ブラジルでは300を超える先住民族・民族集団、数百に及ぶ先住民言語が確認されています。

これは「ブラジルの先住民」という一つの文化がある、という意味ではありません。言語、暮らす地域、歴史、土地との関係、生活様式が異なる多数の民族集団が存在するという意味です。

たとえば、アマゾンの熱帯雨林地域に暮らす民族、ブラジル中西部のサバンナ地帯に暮らす民族、都市部へ移住した先住民、外部社会との接触が限定的な民族など、状況は大きく異なります。

南米の先住民族はどこに多いのか

南米の先住民族と地域文化を示す自然な地図イメージ。南米地図と資料、織物を使った落ち着いた写真。
南米の先住民族を、人物ではなく地図と資料で静かに表したイメージ。

南米の先住民族は、特定の一地域だけに集中しているわけではありません。ただし、大きく見ると、アンデス地域、アマゾン地域、南部・パタゴニア地域、カリブ海沿岸・北部地域に分けて理解すると整理しやすくなります。

地域 主な国 代表的な先住民族 特徴
アンデス地域 ペルー、ボリビア、エクアドル、チリ、アルゼンチン ケチュア、アイマラなど 高地農業、言語継承、インカとの歴史的関係が大きい
アマゾン地域 ブラジル、ペルー、コロンビア、エクアドル、ベネズエラ、ボリビア ヤノマミ、ティクナ、アシャニンカ、シュアールなど 森林、土地権、違法採掘、自然保護と深く関係する
南部・パタゴニア地域 チリ、アルゼンチン マプチェ、テウェルチェなど 土地、自治、文化継承をめぐる議論が続く
北部・カリブ海沿岸 コロンビア、ベネズエラ、ガイアナ、スリナム ワユー、アラワク系、カリブ系の民族など 国境をまたぐコミュニティや多言語環境が見られる

アンデス地域の先住民族

ケチュアとアイマラを象徴するアンデスの作物と織物。キヌア、ジャガイモ、トウモロコシと山岳風景。
ケチュアやアイマラは、アンデス高地の食文化や織物文化と深く結びついています。

アンデス地域は、南米先住民族を理解するうえで非常に重要です。現在のペルー、ボリビア、エクアドル、チリ北部、アルゼンチン北西部にまたがる高地では、インカ帝国以前から多様な文明や共同体が存在していました。

アンデスでは、標高差のある環境に合わせて、ジャガイモ、キヌア、トウモロコシ、ラクダ科動物のリャマやアルパカなどを活用する生活文化が発展しました。現在も、ケチュア語やアイマラ語を話す人々が暮らし、農業、祭り、織物、音楽、信仰、共同体の仕組みが各地域で継承されています。

アンデスの先住民族は、単に古代インカの末裔というだけではなく、現在の南米社会を構成する重要な人々です。都市へ移住した人々も多く、伝統文化と現代生活を組み合わせながら暮らしています。

アマゾン地域の先住民族

アマゾン先住民族の土地と川を考える自然風景。森林、川、キャッサバを通じて地域背景を示す。
アマゾン地域の先住民族は、森林、川、土地権、自然保護と深く関係しています。

アマゾン地域には、非常に多様な先住民族が暮らしています。ブラジル、ペルー、コロンビア、ベネズエラ、エクアドル、ボリビアにまたがる広大な森林地帯では、言語も文化も異なる多くの民族が、それぞれの土地と深く結びついてきました。

アマゾンの先住民族を語るうえで重要なのは、森林を単なる「自然資源」として見るのではなく、暮らし、信仰、食、薬草、移動、知識、共同体の基盤として見ることです。

近年は、違法採掘、森林伐採、道路建設、感染症、外部社会との接触、土地権の侵害などが大きな課題になっています。特に外部社会との接触が限定的な民族にとっては、感染症や土地侵入が生命に関わる問題になることがあります。

アマゾンの先住民族を「未開」や「秘境」として消費する書き方は避けるべきです。彼らは森林と共に暮らす現代の人々であり、土地や文化を守る主体でもあります。

国境をまたぐ先住民族

南米の先住民族を理解するとき、現代の国境だけで考えると見えにくい部分があります。多くの民族は、現在の国境が引かれる前からその土地に暮らしていました。そのため、同じ民族が複数の国にまたがって暮らしていることがあります。

  • ケチュア:ペルー、ボリビア、エクアドル、アルゼンチン、コロンビアなど
  • アイマラ:ボリビア、ペルー、チリなど
  • グアラニー:パラグアイ、ブラジル、アルゼンチン、ボリビアなど
  • ヤノマミ:ブラジル、ベネズエラなど
  • ティクナ:ブラジル、ペルー、コロンビアなど
  • ワユー:コロンビア、ベネズエラなど
  • アシャニンカ:ペルー、ブラジルなど

そのため、国別の人口や民族数を足し上げると、同じ民族が重複して数えられることがあります。南米の先住民族を理解するには、国単位だけでなく、民族・言語・地域・土地のつながりで見ることが重要です。

南米で有名な先住民族

ここからは、南米でよく知られる代表的な先住民族を紹介します。なお、ここで紹介する民族は一部であり、南米の先住民族全体を代表しきるものではありません。

ケチュア

ペルー・オリャンタイタンボで織物をするケチュア女性の写真。南米先住民族の織物文化を示す。
ケチュアの織物文化。Photo: Thayne Tuason / Wikimedia Commons / CC BY 4.0 / Source: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ollantaytambo_Peru-_Quechua_women_weaving.jpg

ケチュアは、ペルー、ボリビア、エクアドル、アルゼンチン、コロンビアなどアンデス地域に広く分布する先住民族・言語集団です。インカ帝国との関係でも知られ、ケチュア語は現在も多くの地域で話されています。

ケチュアの人々は、標高の高いアンデス地域での農業、織物、祭礼、共同体文化と深く結びついています。ジャガイモやキヌアなどアンデス由来の作物文化を考えるうえでも、ケチュアの歴史と現在の暮らしは重要です。

アイマラ

ボリビア・エルアルトのアイマラ女性の写真。アンデス地域の先住民族文化を示す。
ボリビア・エルアルトのアイマラ女性。Photo: Pedro Szekely / Wikimedia Commons / CC BY 2.0 / Source: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Aymara_Women,_El_Alto,_Bolivia_(2173402729).jpg

アイマラは、ボリビア、ペルー、チリなどのアンデス高地に暮らす先住民族です。チチカカ湖周辺や高地文化との結びつきが強く、ボリビアでは社会・政治・文化面でも重要な存在です。

アイマラ社会では、アンデス高地の厳しい自然環境に適応した農業や牧畜、共同体の仕組みが発展してきました。ボリビアでは先住民族の政治的存在感が大きく、アイマラは現代国家のあり方を考えるうえでも欠かせない存在です。

マプチェ

マプチェの銀細工文化を示す写真。チリ南部の先住民族文化を紹介する資料画像。
マプチェの銀細工文化。Photo: Semacomo / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 / Source: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Celeste_Painepan_-_Plater%C3%ADa_Mapuche_Akucha.jpg

マプチェは、チリ南部とアルゼンチン側のパタゴニア周辺にルーツを持つ先住民族です。土地、文化、言語、自治をめぐる問題でも知られ、現代のチリ社会においても重要な存在です。

マプチェはスペイン植民地期にも強い抵抗を示した歴史を持ちます。現在も土地権、文化継承、言語教育、自治をめぐる議論が続いており、チリとアルゼンチンの社会問題を理解するうえで重要です。

グアラニー

パラグアイのPaí Tavyteráコミュニティの料理写真。グアラニー系先住民族の食文化を示す。
パラグアイのPaí Tavyteráコミュニティの料理。Photo: FrankOWeaver / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0 / Source: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Typical_stew_from_the_Pa%C3%AD_tavyter%C3%A1s_community_(Guarani_people_of_Paraguay).jpg

グアラニーは、パラグアイ、ブラジル、アルゼンチン、ボリビアなどにまたがる先住民族です。パラグアイではグアラニー語がスペイン語と並ぶ公用語であり、南米の言語文化を考えるうえで非常に重要です。

グアラニー語は、先住民言語でありながら国家レベルで広く使われる珍しい例です。ただし、グアラニー語を話す人すべてが先住民として自己認識しているわけではありません。ここは記事で誤解されやすい重要な点です。

ヤノマミ

ブラジルとベネズエラにまたがるヤノマミの分布地域を示す地図。
ヤノマミの分布地域を示す地図。Image: Javierfv1212 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0 / Source: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Yanomami_location.png

ヤノマミは、ブラジル北部とベネズエラ南部のアマゾン地域に暮らす先住民族です。アマゾンの森林、土地権、違法採掘、健康問題などの文脈で国際的にも注目されています。

ヤノマミの土地では、違法採掘や外部からの侵入が健康・環境・生活に深刻な影響を与えることが問題視されてきました。ヤノマミを語るときは、文化的な珍しさだけではなく、土地権と健康被害の問題も正面から扱う必要があります。

カヤポ

カヤポは、ブラジルのアマゾン地域に暮らす先住民族です。森林保護、土地権、伝統的な装飾文化、外部社会への発信などで知られています。

カヤポは、国内外に向けた発信力でも知られています。森林伐採や開発計画に対して、土地と文化を守る運動を行ってきたことで、アマゾン保護の象徴的な存在として取り上げられることがあります。

ティクナ

ティクナは、ブラジル、ペルー、コロンビアにまたがるアマゾン地域の先住民族です。国境をまたいで暮らす民族の一例であり、南米の国境と先住民族の関係を考えるうえで重要です。

ティクナはアマゾン川流域に広く暮らしており、国境をまたぐ民族の代表例です。現代国家の国境と、先住民族の生活圏が必ずしも一致しないことを理解するうえで重要な民族です。

アシャニンカ

ブラジル・アクレ州のアシャニンカの人々を写した写真。アマゾン地域の先住民族を紹介する資料画像。
アシャニンカのコミュニティ写真。Photo: Ministério da Cultura / Wikimedia Commons / CC BY 2.0 / Source: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ashaninka_people_-_Minist%C3%A9rio_da_Cultura_-_Acre,_AC_(25).jpg

アシャニンカは、ペルーとブラジルにまたがるアマゾン地域に暮らす先住民族です。森林、伝統的な暮らし、土地権、外部経済との関係を考えるうえで取り上げられることがあります。

アシャニンカの人々は、森林との関係や土地権をめぐる問題で知られています。ペルー側とブラジル側で状況が異なるため、一つの国だけではなく越境する民族として見る必要があります。

シュアール

エクアドルのHuamboyaで撮影されたシュアールの人々の写真。アマゾン地域の先住民族文化を示す。
シュアールのコミュニティ写真。Photo: Kintianua / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 / Source: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Shuar_in_Huamboya.jpg

シュアールは、エクアドルとペルーのアマゾン地域に暮らす先住民族です。アマゾン地域の文化、土地、自然資源をめぐる議論と関係が深い民族の一つです。

シュアールは、エクアドルのアマゾン地域を理解するうえで重要な先住民族です。鉱山開発や自然資源をめぐる議論とも関係があり、土地と共同体の権利が現代的なテーマになっています。

ワユー

ワユー女性が手工芸品を示す写真。コロンビアとベネズエラにまたがるワユーの織物文化を紹介する。
ワユーの手工芸と織物文化。Photo: Mario Muchacho / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 / Source: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Wayuu-woman-displaying-handicraft-work.jpg

ワユーは、コロンビア北部とベネズエラ北西部のグアヒラ半島周辺に暮らす先住民族です。乾燥地帯での暮らし、織物文化、国境をまたぐコミュニティとして知られています。

ワユーは、色鮮やかな織物文化でも知られています。一方で、水資源、貧困、国境をまたぐ生活、国家サービスへのアクセスなど、現代的な課題も抱えています。

有名な先住民族の比較表

民族 主な地域 よく知られる特徴 現代的なテーマ
ケチュア アンデス地域 インカとの関係、ケチュア語、高地農業 言語継承、都市移住、文化教育
アイマラ ボリビア、ペルー、チリ チチカカ湖周辺、高地文化 政治参加、自治、言語継承
マプチェ チリ南部、アルゼンチン 土地と自治、抵抗の歴史 土地権、文化継承、国家との関係
グアラニー パラグアイ、ブラジル、アルゼンチン、ボリビア グアラニー語、国境をまたぐ分布 言語と民族アイデンティティの違い
ヤノマミ ブラジル、ベネズエラ アマゾン森林との結びつき 違法採掘、健康、土地権
ワユー コロンビア、ベネズエラ 織物文化、乾燥地帯での暮らし 水資源、国境、生活インフラ

外部社会との接触が限定的な先住民族

南米、とくにアマゾン地域には、外部社会との接触が限定的な先住民族、または初期接触状態にある先住民族が存在するとされています。日本語では「未接触部族」と呼ばれることがありますが、この表現も慎重に扱う必要があります。

彼らは「まだ発見されていない人々」ではありません。多くの場合、外部社会との接触による暴力、感染症、土地侵入、搾取の歴史を背景に、接触を避けている、あるいは接触を制限している人々です。

外部社会との接触が限定的な先住民族については、観光的な好奇心ではなく、権利と生命を守る視点で扱う必要があります。無理な接触は感染症や生活基盤の破壊につながる可能性があります。

先住民族と南米の食文化

南米の食文化を考えるとき、先住民族の知識と作物文化は欠かせません。ジャガイモ、トウモロコシ、キヌア、カカオ、キャッサバ、唐辛子、豆類など、南米由来または南米で深く発展した食材は世界の食文化に大きな影響を与えています。

特にアンデス地域では、標高差を活かした作物栽培や保存技術が発展しました。アマゾン地域では、キャッサバの加工、果物、薬草、森林資源に関する知識が蓄積されてきました。

ただし、先住民族の知識を商材化するときには、文化の盗用や利益配分の問題にも注意が必要です。南米由来の食品や天然素材を扱う企業は、産地、文化背景、生産者、地域社会への敬意を持って商品づくりを考える必要があります。

先住民族と土地権・自然保護

南米の先住民族を語るうえで、土地権は避けて通れません。先住民族にとって土地は、単なる所有物や資源ではなく、生活、祖先、信仰、食、教育、医療、言語、共同体の基盤です。

近年、アマゾンの森林保護や気候変動対策の文脈でも、先住民族の土地管理が注目されています。多くの研究や国際機関の議論では、先住民族の土地権を守ることが森林保護や生物多様性保全にも関係するとされています。

一方で、鉱山開発、農地拡大、違法伐採、道路建設、水力発電、麻薬取引、武装勢力などによって、先住民コミュニティが危険にさらされる地域もあります。

先住民族を理解することは、南米の環境問題、資源開発、農産物、物流、国際ビジネスを理解することにもつながります。

都市で暮らす先住民

先住民というと、山岳地帯や森林に暮らすイメージを持つ人もいます。しかし現在では、多くの先住民が都市部にも暮らしています。仕事、教育、医療、生活環境の変化によって都市へ移住する人々も多く、都市の中で先住民としての文化やアイデンティティを維持する動きもあります。

都市で暮らす先住民は、伝統的な共同体から離れているように見えることがありますが、それは先住民でなくなったという意味ではありません。言語、家族、祭り、食文化、政治活動、ネットワークを通じて、都市の中でも文化が継承されることがあります。

そのため、先住民を「伝統的な村に暮らす人々」だけで捉えるのは不十分です。現代の先住民は、農村、森林、高地、都市、国境地帯など、さまざまな場所で暮らしています。

よくある誤解

誤解 実際
先住民族は過去の存在である 現在も約1,900万〜2,000万人規模の人々が南米で暮らしている
南米の先住民は一つの文化である 国別統計を単純に見るだけでも600以上の民族集団が確認される
森や山に暮らしていないと先住民ではない 都市部で暮らす先住民も多く、自己認識や共同体との関係が重要
言語を話せなければ先住民ではない 言語は重要だが、言語喪失とアイデンティティ喪失は同じではない
先住民族は開発に反対するだけの存在である 多くの場合、土地、環境、生活、文化、権利を守るために声を上げている

南米の先住民族を一括りにできない理由

南米の先住民族は、「アマゾンの民族」「アンデスの民族」「パタゴニアの民族」「カリブ海沿岸の民族」など、暮らす環境だけでも大きく異なります。

  • アンデス高地で農耕・牧畜文化を発展させた民族
  • アマゾンの森林と深く結びついて暮らす民族
  • 国境をまたいで暮らす民族
  • 都市部に移住しながら文化や言語を継承する人々
  • 外部社会との接触が限定的な孤立・初期接触状態の民族

南米の先住民族を「昔の人々」や「一つの部族文化」として見るのは誤解です。現在も各国の社会の中で生きており、権利、土地、教育、文化継承、環境保護などの課題と向き合っています。

Misioneroがこのテーマを扱う理由

Misionero株式会社が南米新聞で先住民族について扱う理由は、南米を表面的な観光地や商材の産地としてだけでなく、そこに暮らす人々、歴史、文化、土地との関係まで含めて理解するためです。

南米の農産物、食品原料、天然素材、クラフト、文化を考えるとき、先住民族の歴史や知恵、土地との関係を無視することはできません。南米を知ることは、そこに生きる多様な人々を知ることでもあります。

南米の文化・産地・商材を深く知りたい企業様へ

南米には、多様な先住民族の歴史や文化と結びついた食品、農産物、天然素材、クラフト、地域資源があります。Misionero株式会社では、南米に関する情報発信を通じて、文化背景まで理解したうえで南米商材を検討したい企業様との接点づくりを大切にしています。

南米由来の商材、食品原料、天然素材、文化背景を持つ商品企画について調査したい場合は、お気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら

関連記事

よくある質問

南米には今も先住民がいますか?

はい。南米には現在も多くの先住民・先住民族が暮らしています。国別統計や国際機関の情報をもとに見ると、南米全体で約1,900万〜2,000万人規模と考えられます。

南米の先住民は人口全体の何割ですか?

南米全体では約4〜5%前後と見られます。ただし国によって定義や調査方法が異なるため、厳密な比較には注意が必要です。

ブラジルには本当に300以上の先住民族がいますか?

はい。ブラジルでは300を超える先住民族・民族集団が確認されています。先住民人口は2022年国勢調査で約169万人とされ、民族・言語・暮らす地域は非常に多様です。

南米で有名な先住民族には誰がいますか?

ケチュア、アイマラ、マプチェ、グアラニー、ヤノマミ、カヤポ、ティクナ、アシャニンカ、シュアール、ワユーなどがよく知られています。

「インディアン」と書いてもよいですか?

検索語として使われることはありますが、本文では「先住民」「先住民族」と書くのが望ましいです。「インディアン」は歴史的に使われてきた言葉ですが、現在では文脈によって古い表現や誤解を含む表現と受け止められることがあります。

参考情報