日本の商品を南米へ輸出するには?市場・販路・規制・現地企業の探し方を徹底解説

日本の商品を南米へ輸出するには?市場・販路・規制・現地企業の探し方を徹底解説

日本の商品を南米へ輸出する方法を企業向けに解説。ブラジル・チリ・ペルー・コロンビア・アルゼンチンの違い、食品・抹茶・化粧品の規制、輸入企業・代理店の探し方、価格・物流・契約の注意点を整理します。

公開日:2026年8月7日 / 南米新聞・南米ビジネス・輸入と貿易 / 最終確認:2026年8月7日(日本時間)

抹茶・化粧品・食品など日本の商品を南米へ輸出する準備イメージ
抹茶、化粧品、加工食品、生活用品など、日本商品の南米展開を検討する際は、商品特性と現地の輸入制度をセットで確認します。画像:Misionero編集部作成。

この記事の結論

南米輸出は、対象国・輸入者・商品規制・販売価格を発送前に固めることが成功の出発点です。

日本の商品を南米へ輸出するには、最初に商品を発送するのではなく、「どの国で、誰が輸入者になり、どの制度で販売するか」を決める必要があります。

  • 南米は一つの市場ではなく、国ごとに言語、関税、登録制度、商習慣が異なります。
  • 食品、化粧品、健康関連商品は、現地当局への登録や表示確認が必要になる場合があります。
  • 日本側の輸出申告だけでなく、現地で輸入申告を行える企業を先に確保することが重要です。
  • 価格は日本の卸価格だけで決めず、国際輸送、保険、関税、現地税、登録費用、販売マージンまで逆算します。
  • 初回は少量のテスト販売が有効ですが、最低ロットと輸送単価の両方を確認する必要があります。
  • チリとペルーには日本とのEPAがあり、両国はCPTPPにも参加しています。ただし、品目ごとの原産地規則と税率確認は必要です。

抹茶、菓子、調味料、化粧品、生活用品。日本で育った商品を南米で販売できないかと考える企業は、少しずつ増えています。一方で、実際に動き始めると「南米のどの国から始めるのか」「現地の輸入者は誰なのか」「商品登録は必要なのか」という問題にぶつかります。

南米には共通する文化的な近さがある一方、ブラジルの公用語はポルトガル語で、その他の多くの国ではスペイン語が使われます。税制、輸入制度、人口規模、販売チャネル、商談の進め方も同じではありません。

南米輸出で大切なのは、「南米で売れるか」という大きな問いを、「どの国の、どの顧客に、どの輸入者を通じて、どの条件で売るか」まで分解することです。

ブラジルのサントス港に停泊する貨物船とコンテナ、日本商品を南米へ輸出する物流の実写真
ブラジル・サントス港。商品が港へ到着した後も、輸入申告、検査、国内輸送、販売先への納品が続きます。写真:JorgeRioBRAZIL / Jorge Andrade、ライセンス:CC BY-SA 2.0、出典:Wikimedia Commons

日本の商品を南米へ輸出するとき、最初に決めること

輸出を始めるとき、商品説明の翻訳や送料の確認から着手しがちです。しかし、先に決めたいのは次の5点です。

  • 対象国:ブラジル、チリ、ペルーなど、最初に検証する国
  • 想定顧客:輸入卸、代理店、小売店、飲食店、EC事業者など
  • 輸入者:現地で輸入申告や商品登録を行う企業
  • 販売形態:業務用原料、小売商品、OEM、越境ECなど
  • 取引条件:数量、価格、決済、輸送、責任分担

日本税関への輸出申告では、原則として輸出申告書とインボイスが必要です。貨物によってはパッキングリストや、他法令に基づく許可・承認書類も求められます。ただし、日本側で輸出許可が下りることと、相手国で輸入・販売できることは別です。

「日本から発送できる」と「南米で合法的に輸入・販売できる」を混同しないことが重要です。輸出前に現地側の輸入者と規制を確認します。

ブラジル・チリ・ペルー・コロンビア・アルゼンチンの違い

以下は、国を選ぶための初期比較です。「市場規模が大きい国が一番良い」とは限りません。規制対応、販売先との接点、商品価格、テスト販売のしやすさまで含めて判断します。

国境線を示した南米大陸の政治地図
南米は一つの市場ではなく、国ごとに輸入制度、税制、言語、販売環境が異なります。地図:Juanchocarbonero、ライセンス:CC0 1.0、出典:Wikimedia Commons
主な言語 制度面の特徴 向いている検討 注意点
ブラジル ポルトガル語 食品・化粧品等ではANVISA、農畜産品等ではMAPAの確認が重要 市場規模を重視した中長期展開 登録、税制、物流を含む事前設計が必要
チリ スペイン語 日・チリEPAとCPTPPが利用できる可能性 日本食品・酒類・生活用品の市場検証 EPA適用には品目別税率と原産地規則の確認が必要
ペルー スペイン語 日・ペルーEPAとCPTPPが利用できる可能性 食品、外食向け原料、日系文化との接点を生かした提案 賞味期限と輸送・通関期間のバランス
コロンビア スペイン語 食品・化粧品等はINVIMA、農畜産品等はICAの確認が中心 都市部の専門店、外食、代理店を起点にした展開 日・コロンビアEPAは交渉中で、発効済みではない
アルゼンチン スペイン語 品目規制に加え、輸入・為替制度の直近確認が重要 専門性やブランド背景を伝える商品 制度変更、価格改定、決済条件を契約前に再確認

チリとペルーについては、日本との二国間EPAに加えてCPTPPもあります。どちらを利用できるか、どちらが有利かは、HSコード、原産地規則、関税率、必要書類によって変わります。

南米で販売を検討しやすい日本商品

「日本製だから売れる」と考えるのは危険ですが、日本ならではの用途、品質管理、技術、文化的背景を説明できる商品には商談の入口があります。重要なのは、商品カテゴリーだけでなく、誰のどの課題に応えるかを明確にすることです。

南米への輸出を検討する抹茶・J-Beauty化粧品・加工食品・生活用品のサンプル
抹茶、J-Beauty、加工食品、生活用品では、賞味期限・成分・容量・使用方法・保存条件など、商談前にそろえる情報が異なります。画像:Misionero編集部作成。
商品分野 想定する販売先 提案時に必要な情報 主な確認事項
抹茶・日本茶 カフェ、製菓店、食品輸入卸、小売店 用途、グレード、色、風味、賞味期限、保管条件 食品登録、成分、残留農薬、表示、温度管理
J-Beauty・化粧品 化粧品輸入会社、代理店、専門店、サロン 全成分、使用方法、対象顧客、ブランド方針、正規流通条件 商品登録、成分規制、表示、責任主体、商標
菓子・調味料・加工食品 食品卸、スーパー、専門店、レストラン 原材料、アレルゲン、栄養成分、容量、ケース入数 添加物、ラベル、賞味期限、動物由来原料
生活用品・趣味用品 専門商社、小売店、EC事業者、代理店 使用場面、材質、耐久性、保証、交換部品 安全基準、電気規格、知的財産、アフターサービス

高級品として見せるだけでは不十分です。現地の購入者が「なぜこの商品を扱うのか」を説明できる、用途・利益・顧客像の整理が必要です。

食品・抹茶・化粧品は、商品ごとの規制確認が必要

南米向け輸出で、規制を「南米共通」とまとめることはできません。同じ抹茶でも、業務用原料、加糖飲料、菓子、サプリメントでは分類や必要確認が変わる可能性があります。化粧品も、使用目的や訴求表現によって扱いが変わります。

  • HSコードと現地の商品分類
  • 輸入禁止・制限の有無
  • 現地輸入者に必要な資格や登録
  • 商品・製造施設の事前登録
  • 原材料、添加物、全成分の適合性
  • スペイン語またはポルトガル語の表示
  • 賞味期限、ロット、原産国、輸入者情報
  • 検疫証明、衛生証明、自由販売証明等の要否

ブラジルでは、食品や化粧品などでANVISA、農畜産品などでMAPAが関係します。コロンビアでは食品・化粧品などにINVIMA、農畜産品などにICAが関係します。ペルーの加工食品ではDIGESA、農畜産品ではSENASAなど、品目によって管轄が変わります。

商品名だけで「輸出可能」と判断しないでください。原材料、用途、製造方法、包装、表示、販売方法をそろえて、輸入者・専門家・関係当局の情報を確認します。

南米の輸入企業・代理店・販売先はどう探すのか

候補企業は、検索エンジンだけでもある程度見つかります。しかし、会社サイトが更新されていない、問い合わせ先が代表アドレスしかない、担当者名が公開されていないこともあります。そのため、複数の経路を組み合わせます。

日本企業と南米の輸入会社・代理店が商品サンプルを確認する商談イメージ
輸入会社や代理店との商談では、商品説明だけでなく、希望価格、ロット、納期、登録対応、販売先の想定まで具体化します。画像:Misionero編集部作成。
探し方 分かること 注意点
業界団体・展示会・商工会議所 業種、活動実態、参加企業 掲載企業が現在も輸入しているとは限らない
輸入統計・通関データ 品目の流通、輸入企業候補 企業名が確認できないデータもある
小売店・EC・レストランの棚調査 価格、競合商品、輸入者表示 一店舗の状況を市場全体とみなさない
LinkedIn・Instagram等のSNS 担当者、活動状況、ブランドとの相性 非公式アカウントやなりすましを確認する
現地ネットワークからの紹介 意思決定者への接点、企業の評判 紹介だけで信用せず法人・取引条件を確認する

候補を見つけた後は、法人情報、所在地、取扱商品、輸入経験、販売チャネル、倉庫、決済条件を確認します。「興味があります」という返信だけで販売先が決まったとは考えません。

南米企業との商談は、メールを送るだけでは進みにくい

南米企業との営業で、最初のメールに返信がないことは珍しくありません。原因は関心がない場合だけではなく、担当者が違う、英語資料が読まれていない、代表メールが確認されていない、提案条件が抽象的といったこともあります。

初回連絡では、会社紹介を長く書くより、商品、対象顧客、希望する取引、最低ロット、価格の考え方、サンプル可否を簡潔に示します。その後、現地語での連絡、担当部署の確認、SNSや紹介経路からの接点づくりなどを組み合わせます。

  • 相手企業が現在扱っている商品を確認してから提案する
  • 英語だけでなく、スペイン語・ポルトガル語の要約を用意する
  • 商品写真、規格、価格条件を一つの資料にまとめる
  • 返信がない場合は担当部署と連絡手段を変える
  • 口頭合意だけで進めず、条件を文書で確認する

南米特有の営業手法とは、裏技ではありません。現地で使われる言語、連絡手段、意思決定の流れを理解し、担当者へ届く方法を一社ずつ探すことです。

輸出価格・決済・物流は、販売価格から逆算する

日本で1,000円の商品を、そのまま為替換算して南米で販売できるわけではありません。輸送費、保険、関税、現地税、通関費用、登録費用、倉庫、小売・卸のマージンが加わります。

輸出用の梱包箱・インボイス・計算機・計量器を使った物流費用の確認作業
輸出価格は、商品原価だけでなく、梱包、国際輸送、保険、通関、関税・税金、倉庫、現地販売マージンまで積み上げて確認します。画像:Misionero編集部作成。
確認項目 決める内容 見落としやすい点
価格 通貨、価格条件、有効期限 為替・運賃変動時の再見積もり条件
インコタームズ 運賃・保険・危険移転の分担 用語だけ決めて実務分担を曖昧にしない
決済 前払い、送金、信用状等 初回取引での後払いと回収リスク
物流 航空・海上、温度帯、梱包、保険 港到着後の保管・国内配送
契約 独占、地域、期間、返品、知的財産 販売実績がない段階で広い独占権を渡すこと

初回商談で独占販売権を求められても、すぐに合意しないことが大切です。対象地域、最低購入量、期間、未達時の解除条件を契約に落とし込みます。

日本商品を南米へ輸出するまでの流れ

段階 行うこと 完了の目安
1. 商品整理 規格、成分、価格、ロット、期限、供給量を整理 輸出用商品資料を作成できる
2. 国選定 市場、規制、競合、物流、EPAを比較 最初に検証する国が決まる
3. 規制確認 分類、登録、表示、証明書を確認 輸入条件と必要期間が見える
4. 販売先開拓 輸入者、代理店、小売等へ提案 取引意思と条件を確認できる
5. サンプル 評価、表示案、価格、輸送状態を確認 本発注前の課題を整理できる
6. 契約 数量、価格、決済、責任分担を合意 注文書・契約書が整う
7. 輸出・販売 輸出申告、輸送、輸入通関、納品 現地で販売可能な状態になる
8. 検証 販売、在庫、顧客反応、再注文を確認 継続条件と改善点が決まる

南米輸出でよくある失敗

  • 南米全体を一つの市場として扱う
  • 輸入者が決まる前に大量の商品を製造する
  • 日本語の営業資料だけで提案する
  • 商品登録にかかる期間と費用を見込まない
  • 賞味期限を日本出港時点だけで考える
  • 輸送費・税金・販売マージンを含めず価格を決める
  • 相手企業の法人情報や支払能力を確認しない
  • 販売実績がない段階で広い独占権を設定する

失敗を避ける一番の方法は、最初から大きく売ることではありません。規制と商流を確認し、信頼できる輸入者と小さく検証し、売れ方を見て次の数量を決めることです。

日本商品の南米輸出・販路開拓をご相談ください

Misionero株式会社では、南米の商習慣に合わせた企業調査、輸入会社・販売先候補の開拓、担当者へのアプローチ、取引条件の整理を行っています。

現在、抹茶やJ-Beautyをはじめとする日本商品の海外販売先開拓に取り組んでいます。「どの国から始めるべきか」「現地の輸入企業を探したい」という段階からご相談いただけます。

  • 対象国と販売チャネルの初期整理
  • 輸入企業・代理店・小売企業の候補調査
  • 現地企業への連絡と取引意思の確認
  • 商品資料・価格・最低ロット等の条件整理
  • 輸送・通関を含む実行体制の調整

すべての企業との連絡や取引成立を保証するものではありません。商品・国・規制・取引条件を確認したうえで、実現可能性をご案内します。

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日本から南米への輸出に関するFAQ

Q. 小ロットでも南米へ輸出できますか?

航空便や国際宅配便でサンプル・小口貨物を送れる場合はあります。ただし、商用貨物としての輸入申告、商品登録、表示などが不要になるとは限りません。また、小ロットほど1個当たりの輸送費は高くなりやすいため、テストの目的を決めて実施します。

Q. 南米で最初に検討しやすい国はどこですか?

商品によって異なります。市場規模を重視するならブラジルが候補になりますが、規制や税制への対応も必要です。チリとペルーには日本とのEPAがあり、CPTPPにも参加しています。既に接点のある輸入者、商品規制、価格帯も含めて選びます。

Q. 抹茶は南米へ輸出できますか?

輸出事例はありますが、国、用途、商品形態、原材料によって確認事項が異なります。業務用抹茶、加糖飲料、菓子、サプリメントを同じ条件で扱うことはできません。輸入者と商品分類、表示、必要書類を確認します。

Q. 日本の化粧品を南米で販売できますか?

可能性はありますが、国ごとの商品登録、成分、表示、責任主体、正規流通条件の確認が必要です。日本で販売できることだけを根拠に、そのまま現地販売できるとは限りません。

Q. 現地の販売代理店を紹介してもらえますか?

Misioneroでは、商品と対象国に合わせて輸入企業、代理店、小売企業などの候補を調査し、接点を探します。ただし、紹介や契約成立を保証するサービスではなく、相手企業の取引意思と条件を確認しながら進めます。

Q. 英語の資料だけで営業できますか?

企業によっては英語で対応できますが、ブラジルではポルトガル語、その他の多くの国ではスペイン語の要約がある方が内容を伝えやすくなります。少なくとも商品名、用途、条件、連絡目的は現地語で整理することをおすすめします。

Q. 輸出開始までどれくらいかかりますか?

規制対象でない商品、登録が必要な食品・化粧品、現地輸入者が決まっている案件では期間が大きく異なります。対象国、商品仕様、登録、サンプル、契約、製造、輸送を分けて工程表を作ります。

Q. EPAがあれば関税はゼロになりますか?

すべての商品が自動的に無税になるわけではありません。品目別の税率、原産地規則、証明手続き、適用時期を確認する必要があります。

参考・出典

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※本記事は一般的な情報整理を目的としています。輸出入制度、税率、商品登録、表示、必要書類は改正されることがあり、国・商品・用途によって異なります。実際の取引前に、関係当局、輸入者、通関業者、専門家へ最新情報をご確認ください。